パーソナルトレーニングにおける効率

月刊トレーニングジャーナル2011年1月号の掲載記事

執筆者/トータルフィットネスサポート代表 齊藤 登

私は現在、アメリカンフットボール・サッカー・競泳・ゴルフ・クロスカントリースキー・フィギュアスケート・車椅子バスケットボール他、様々なアスリートに対してパーソナルトレーニングを行っています。

今回は、アスリートを対象としたパーソナルトレーニングの効率について、私の考えと現場で実践していることを紹介します。

1. パーソナルトレーニングにおける効率

私が考えるパーソナルトレーニングの効率とは、クライアントの目的を達成するうえで無駄となるものを省き、その目的に対してプラスとなる影響を与えることです。無駄を省くことにより目的達成までの距離が短くなり(図1)、プラスの影響を与えることで目的達成の進行スピードを速くすることができます(図2)。

パーソナルトレーニングでは、1回あたりの指導時間が契約により定められているため、限られた時間で成果を出していかなければなりません。成果を出すためには、パーソナルトレーニングを効率化し、時間を有効に使っていく必要がありますので、パーソナルトレーニングにおいて効率は重要なものとなります。

効率化を進めるうえでの注意点として、能率(一定の時間内にすることのできる仕事の割合)だけを追い求めてしまうと、指導時間内に運動量をどれだけ増やせるかといったところに目が行ってしまい、全体として非効率となることもあります。というのは、クライアントの目的はトレーニングセッションでの運動量増大ではなく、他のことにあるからです。例えば、度重なる故障で試合に出場することができない選手がいたとします。原因は、オーバーユースよるもので、クライアントの要望は試合に出場することです。このクライアントに対して、運動量を上げて追い込んでしまうと、どうなるでしょうか?傷害を予防するためのトレーニングが、傷害発生の原因になってしまうこともありうるのです。

このような問題を防ぐためには、クライアントの目的をしっかりと把握し、練習状況や日常生活などの全体を考慮したうえで、無駄のないトレーニングを計画していくことが必要となります。そのためには、パーソナルトレーニングの中だけで効率を考えずに、目的達成に向けた全体的な効率を考えなくてはなりません。全体に目を向けることで、目指すものが明確となりますので、パーソナルトレーニングで何を提供すればよいのかも見えてきます。

クライアンとパーソナルトレーナーが手をつなぎ、すべてのベクトルを目的達成に向けることができれば、おのずと無駄もなくなります。また、指導方法を工夫することで、目的に対してプラスとなる影響を与えられますので、効率化をはかることができます。

2. パーソナルトレーニングでの取り組み

私が効率化をはかるために指導現場で実践している、プロセスや考え方、視点といったものを実際のパーソナルトレーニングの流れに沿って紹介します。

(1)目的把握と目標設定

目的把握と目標設定の注意点として、目標のみに集中してしまうと目的が見えなくなり、誤った方向へ進んでしまうことがあります。例えば、バレーボール選手がジャンプ力を向上させるために、レジスタンストレーニングを取り入れたとします。プログラムでは、ジャンプ力における土台作りとしてバックスクワットが選択され、初期目標として体重比1.2倍(現状は体重比1.0倍)が設定されました。トレーニングを継続的に行った結果、挙上重量が目標値を大幅に上回り、選手本人もレジスタンストレーニングに意欲的になりました。そして、いつのまにかバレーボールにおけるジャンプ力向上を忘れ、バックスクワットの拳上重量のみを追い求めるようになってしまいました。この例のように、目的と目標がすり替わり、本来進むべき方向から外れてしまうことは指導現場でよくありますので、注意しなければなりません。

このようなことを未然に防ぐためには、クライアントが目的に目を向けているかどうかを、常にチェックしながらパーソナルトレーニングを進めていく必要があります。また、実際に方向がずれてしまった場合は、できるだけ早い段階で軌道修正をし、クライアントを本来進むべき方向へと誘導することも、パーソナルトレーナーとしての役割だと思います。

では、まず目的把握について説明していきます。パーソナルトレーニングでは、最初にクライアントと面談をしますが、このときに大切なのは根本的な目的を突き止めて、しっかりと把握するということです。何故なら、目的把握を誤ると、いくら精度の高いプログラムを作成し、適切なトレーニング指導をしたとしても、クライアントが望む結果にならないからです。

目的把握の具体的な方法としては、クライアントの要望に対して、何故そう思ったのかを繰り返していくことで、根本的なものを探し出していきます。例えば、サッカー選手(ポジション:DF)のクライアントが、初回面談で「速く走れるようになりたい」という要望を言ったとします。それを聞いたパーソナルトレーナーが、30m走(音による刺激に対してのスタート)のタイムを測定して、目標タイムを設定し、スプリント能力向上のためのトレーニングを実施したとします。数か月後、同一条件で30m走のタイムを測定した結果、目標タイムをクリアすることができました。果たして、このクライアントの目的は達成できたのでしょうか?この答えは、何故そう思ったのかを繰り返すことで見えてきます(図3)。クライアントの要望は、速く走れるようになりたいとのことでしたが、これはワールドカップ出場という目的のために、サッカーにおける特異的な速さが必要と感じたからであり、30m走でのタイム短縮ではないということが分かります。

ただし、この例の場合、目的が非常に高いため、現実的に目的を達成することが可能なのかどうかをクライアントと話し合い、可能性があるのであれば、それに応じたトレーニングプログラムを作成していきます。また、クライアントからの要望であった、サッカーにおける特異的な速さについては、目的を達成するうえで必要なものならば、視覚からの刺激による爆発的なスタート動作(クイックネス)を、プログラムの中に組み込んでいきます。

この方法を指導現場で用いるときの注意点として、初回面談の席でいきなり突っ込んだ話をすると、クライアントが拒否反応を起こしてしまう場合がありますので、事前にこちらの趣旨を伝えたうえで丁寧に聞き出していかなければなりません。

目的の把握ができたら、次は目標設定に移ります。目標を設定するときに、まずやらなければならないのが健康状態、体力レベル、トレーニング状況、生活習慣、食事内容などの現状を把握することです(4,5)。現状把握によって、目的とのギャップが見えてきますので、そのギャップを埋める手段の一つがパーソナルトレーニングということになります。

目標を設定するときは、現状と目的を直線で結び、そのライン上に目標を配置していきます(図4)。このときに、大まかなロードマップがイメージできてないと、目標がライン上から外れてしまうことがあります。私の場合は、クライアントの目的と現状を把握した瞬間から、プログラムデザインが始まります。頭の中で、目的に到達するためのいろいろな道筋をイメージし、どうすれば目的達成できるのかを考えていきます。そして目標は、必ず目的から現状に向かって(目的に近いところから)設定していきます。現状から目的に向かって目標を設定してしまうと、最後に目的に辿りつかないことがあるため、このような手順で行っています。

実際の目標設定の方法としては、試合や練習などのスケジュールを全て聞き出した後に、目標の配置(日程)を決めていきます。次に、各目標における目的を達成するための最低基準を予測します。そして、今までの実績やトレーニング状況などから目標値を推測し、先ほど予測した最低基準を上回れば、目標として設定することが可能となります。

また、推測した目標値がどう転んでも最低基準に届かないときは、あまりにも目的が高いか、期間が短いなどの問題が考えられます。そのような場合は、クライアントと話し合いをして双方合意のもと、目的の高さを下げるか、期間を長くするなどの対策をとっていきます。

(2)プログラムデザイン

パーソナルトレーニングにおいて、プログラムデザインは根幹をなすものです。何故なら、プログラムデザインがクライアントの目的にあったものでなければ、どんな一流のパーソナルトレーナーが指導したとしても失敗に終わるからです(1)。

効率的なパーソナルトレーニングを実施するためには、プログラムデザインも効率的でなくてはなりません。プログラムデザインも目標設定と同じで、期分けやエクササイズ選択などを、目的から現状に向かって考えていきます。こうすることで、目的に合わない不必要なものを入れてしまうことや、本来必要となるものが抜けてしまうことがなくなりますので、無駄のない筋の通ったプログラムデザインができます(図5)。

ただし、実際にプログラムデザインを運用していったときに、計画通りに進まないことがありますので、適時修正を加えながら臨機応変に対応していかなければなりません。また、最新のスポーツ医科学の情報により、現在行っているプログラムよりも、さらに効率的になるものがあれば、プログラムを組み直すこともあります。計画的かつ柔軟性をもったプログラムデザインが、トレーニング指導の現場では求められます。

(3)トレーニング指導

効率を考えた場合、トレーニングを単に生理的適応を起こさせるものとして捉えるのではなく、目的に対してプラスの影響を与えるものにしていく必要があります。そこで、私が取り入れているのが、メンタルトレーニングの手法や考え方です。メンタルトレーニングでは、目的達成に必要な心理的スキルを習得し、実践の中で活用していくことで、自己管理能力を身に付けていきます(3,4,7,8,16)。

パーソナルトレーニングは性質上、手取り足取り的な指導になりやすく、本来クライアントが自分で管理しなければならない身体管理(疲労や怪我への対策など)をパーソナルトレーナーが代行してしまうと、自己管理する必要性がなくなり、結果的に自己管理能力の低下を招いてしまうことがあります(15)。自己管理能力が低いということは、他の人に頼る部分が多く、自分でコントロールできるものが少なくなります。これは、目的達成の成否が、自分以外のものによって左右されることを意味します。目的達成をサポートするためのパーソナルトレーニングが、やり方によっては目的達成にマイナスの影響を与えてしまう恐れもあるので、トレーニング指導においては特に注意が必要です。

したがって、パーソナルトレーニングでは、クライアントが目的を達成するために必要なものだけを提供し、自己管理能力を高められる環境をつくらなくてはなりません。そこで私は、クライアントが自分自身で問題点を見つけ出し、対策を講じながら解決していくという、トレーニング指導のシステムをつくり実施しています。パーソナルトレーナーの役割としては、クライアントが問題解決に向かうように、必要に応じてアドバイスしながら、トレーニング全体の舵取りを行っていきます。こうすることで、クライアントの自己管理能力を高め、目的に対してプラスの影響を与えられるのではないかと考えています。

では、実際にトレーニング指導で行っていることをウォームアップ、主運動、クールダウンといったパーソナルトレーニングの流れに沿って説明していきます。

①ウォームアップ

ウォームアップは、トレーニングをより良い状態で行うために実施するものですが、効率を考えるとトレーニングのためのウォームアップではなく、目的を達成するために行っているトレーニングのウォームアップにしなければなりません。

全体の流れとしては図6に示すとおり、メンタル面のウォームアップをした後に、身体面のウォームアップを行っていきます。

a)メンタル面のウォームアップ

最初にメンタル面のウォームアップを入れる理由は、今から行うトレーニングは何のためにするのかを再認識させ、トレーニングの質を上げるためです。これにより、目的を見失うことなく目の前の目標に向かってトレーニングを行うことができますので、目標設定で紹介したような過ちを防ぐことができます。

全体の流れとしては、1.身体を安定させる→2.鏡の自分自身に向かって最初に最終目的を言い、次に目の前の目標を言う(いつまでに何を達成するのかを言う)→3.その目的と目標は達成できると信じる(プラス思考のセルフトーク)という順序で行っていきます。

この中で一番重要になるのが、身体を安定させることです。メンタルトレーニングでは、姿勢とメンタルには関係があるといわれています(7,8)。例えば、背筋を伸ばして大きな声で笑うと気分が楽しくなり、逆に下を向いて肩を落とすと気分が落ち込むなどがそうです。したがって、メンタルを安定させるためには、まず身体を安定させる必要があります。

メンタル面のウォームアップは、慣れてくると1~2分程度しかかかりませんので、時間的制約があるパーソナルトレーニングでも問題なく行うことができます。

b)身体面のウォームアップ

身体面のウォームアップは、できるだけ無意識な状態(フォームや安定性を意識しない)で行ってもらい、身体がベストな状態(またはそれに近い)と比べてどうか、自己チェックしていきます。身体の動きやすさ、バランス、力の入り方などがベストな状態でない場合は、セルフコンディショニングを行い、ベストな状態へと近づけていきます。セルフコンディショニングの内容は、様々な状況を想定してある程度パターン化してあり、クライアントは身体状態に応じて対策を選択し、実施していきます。

ここでのポイントは、時間的制約がある中での的確な状況判断と、目の前の問題に対しての適切な対応になります。クライアントは、主運動開始までの限られた時間(スポーツの現場では、試合開始や練習開始までの時間)で状況判断~対策実行までを迅速に行い、問題が改善されたかどうか再チェックしていきます。問題が完全に改善されない場合は、そのまま主運動に入ってしまうと不安が残りパフォーマンスが低下してしまう恐れがありますので、そのようなときは「これでよし」と自分に言い聞かせ、都合よく考えるようにしていきます。以上のような流れを、パーソナルトレーニングの開始当初に細かく指導していき、最終的には自分だけで行えるようにしていきます。

パーソナルトレーニングの能率だけを考えた場合、チェックや対策などをクライアント本人が行うのではなく、全て私のほうで行ったほうが、短時間で事が運びますので能率的だと思います。しかし、実際のスポーツ現場では、クライアントが自分で判断し行動するといった場面は多くあり、また私もクライアントのそばにいるわけではないので、特異性を考慮し、このような形をとっています。

②主運動

主運動の内容はクライアントの目的によって異なりますが、今回はレジスタンストレーニングの指導について紹介したいと思います。私はレジスタンストレーニングの中でも、特にフリーウエイトエクササイズを重視しています。フリーウエイトエクササイズには、スクワットやランジなどのようにバランスを保ちながら重心移動をするものや、クリーンやスナッチなど爆発的動作を伴うエクササイズがあります。これらのエクササイズは、技術的難易度が高いため習得には一定の期間を要しますが、筋肥大や筋力向上などの生理的適応を引き起こすだけでなく、あらゆるスポーツ動作に共通する、基本的な身体の使い方を身に付けることができます(12)。

この基本的な身体の使い方をスポーツ競技に活かすためには、無意識な状態で身体を動かしたときに自動的に働くようにする必要があります。スポーツ競技、特に試合においては、テクニック(技術:方法や手段)のレベルではなく、自動化(無意識な状態でも勝手に身体が動く)された適切なスキル(技能:技術の実行能力)が要求されます。したがって、クライアントにエクササイズを習得させる場合は、テクニックに留まらず、適切なスキルの自動化を目指す必要があります。

未経験の運動を、迅速かつ的確にできるようになる過程を運動学習といいますが(10)、エクササイズの習得では、この運動学習がスムーズにいくかどうかがポイントとなってきます。私は運動学習を効率よく進めるために、スキルをダイナミックアライメントや動作軌道などの外面的なもの(以後「構造的スキル」と表記)と、重心コントロールや神経筋コントロールなどの内面的なもの(以後「機能的スキル」と表記)とに分けて、段階的に習得させるようにしています(図7)。

進め方としては、適切な構造的スキルを自動化してから、機能的スキルの習得に移っていきます。これは、機能的スキルを自動化するときに、身体内の感覚に意識を向ける必要があり、動作そのものを身体で覚えていないと無理だからです。また、適切な構造的スキルが自動化されていない状態で、機能的スキルを習得しようとすると、エクササイズのフォームが崩れ傷害発生の危険性が高まる恐れがあります。

この一連の習得過程には、問題解決の基本手順(問題の認識→分析→対策立案→対策実施→評価)が含まれており、クライアントが目の前の問題を自分自身で解決していくことで、自己管理能力を高めることができます。これもウォームアップと同様に、最初は細かく指導していきますが、最終的に自分だけで行えるようにしていきます。

では実際の方法について図8をもとに説明していきます。まず1セット目は無意識な状態(フォームや安定性を意識しない)でエクササイズを行ってもらい、構造面や機能面に問題があるかどうかをクライアント本人にチェックしてもらいます(適切な構造的スキルが自動化させていない場合は、構造面のみをチェックします)。問題がない場合は、すでに自動化が完了しているので、その後のセットにおいても同様にエクササイズを行っていきます。問題がある場合は、セット間の休息時間を利用して問題分析を行い、対策があるのかないのかを探ります。今までの経験から適当な対策があれば、次のセットでそれを実施します。対策がないのであれば、仮説を立てて新たな対策を練り、次のセットで実施していきます。そして、対策を実施後に問題が改善されたかどうかをチェックし、何も改善されない場合は再度問題分析を行い、新たな対策を立てていきます。問題が改善された場合は、完全に改善された(問題解決)場合と一部改善されたが完全ではない場合に分かれます。問題が完全に改善(問題解決)された場合は、以後のセットにおいても同じ対策を実施していきます。また、今後のために改善方法を出力し(具体的な内容を図や文章などで残しておく)、いつでも分かるように整理しておきます。一部改善されたが完全ではない場合は、実施した対策に+αを加えたものを実施していきます。

このような流れでレジスタンストレーニングを進めていくと、適切なスキルの導き出しから自動化までが効率的に行えるため、運動学習がスムーズにいきます。また、クライアント側の感じ方としても、トレーニングをやらされているというよりは、自分で取り組んでいるように感じますので、トレーニングに対する意識も高まりやすいと思います。

ただ、このシステムを実践していくときに非常に難しいのが、セット間のインターバル内にチェックや問題分析、対策立案などを行わなくてはならないことです。筋持久力や筋肥大を狙ったレジスタンストレーニングでは、定められたインターバルを超えてしまうと筋に対する効果が半減してしまうため(4)、チャックや問題分析などに時間がかかるようであれば、パーソナルトレーナーが必要に応じてアドバイスをし、クライアントを誘導していかなければなりません。

③クールダウン

パーソナルトレーニングでは、クールダウンにあまり時間を割けないため、メンタル面と身体面を同時に行い、時間を有効に使っていきます(図9)。

メンタル面の進め方としては、今日行ったトレーニングを振り返り、得たもの、疑問点、今後の課題などを頭の中で整理していきます。これは、過去を思い出し、未来を考えるといったイメージトレーニングとなります(7)。次に、疑問点や確認したいことがあれば、質疑応答という形でクライアントにアドバイスをしていきます。このとき、解らない=すぐ聞くというのではなく「自分ではこう考えているが、これは正しいのか」「この問題に対して、こう分析し、このような対策をとったが結果がうまくいかなかった」など、必ずそこに至った経緯も説明してもらいます。これにより、コーチングでいうオートクラインが起こるため、自分の考えが意図的に整理され、気づきが起こり、それが自発的行動へと繋がっていきます(6)。また、こちら側としても、状況を把握しやすいため、的確なアドバイスを行うことができます。

身体面の進め方としては、ジョグやバイクなどの有酸素性運動を行った後に、スタティックストレッチングを行っていきます。スタティックストレッチングは、クライアントの目的によって、それぞれ強度や量などを設定し、筋の残余収縮を自然長に戻すものと、静的柔軟性を高めるものとに分けています。これも、ウォームアップと同様に、自分でチェックしながらセルフで行ってもらいます(必要な場合のみパートナーストレッチング実施)。

また、パーソナルトレーニング後に、練習がある場合は、スタティックストレッチング後の運動神経抑制を解除するために、神経筋を活性化するためのプログラムを行っていきます。このプログラムの内容は、実施する練習内容によって異なりますが、主に体幹~四肢にかけての連動性を高めるスタビリティエクササイズやファンクショナルエクササイズなどを行います。

このような形でクールダウンを行うことで、今日行ったトレーニングが次のトレーニングに繋がるため、無駄がなくなります。また、パーソナルトレーニング以外の技術練習や日常生活においても、振り返る習慣がつきますので、目的に対してプラスの影響を与えることができます。

(4)その他

目的達成に向けた全体的な効率を考えた場合、トレーニング(運動)だけでは限界がありますので、食事(栄養)、睡眠(休養)、メンタルを絡めながら進めていく必要があります。そこで、クライアントに食事や睡眠、メンタルを管理するためのツールを渡して、自分自身で行ってもらうのですが、通常はうまくいきません。

うまくいかない理由としては、今までの日常生活を変えることによって起こる、様々な問題に対応できず途中で断念してしまうことがあげられます。これらを改善するために、実際に出てきた問題を詳しく聞き出して、主運動の項で紹介した図11の問題解決の基本手順を用いながら、クライアントを誘導していくようにしています。

レジスタンストレーニングに比べ、難しい問題も多くあり解決までには時間もかかりますが、食事、睡眠、メンタルを自分自身で管理することで、自己管理能力が向上し、全体的な効率を高めることができます。また、パーソナルトレーニング以外の技術練習や日常生活においても、常に目的を意識するようになりますので、全てのベクトルを目的達成に向けることができます。

3. 最後に

私は、目の前のクライアントをお客様としてではなく、人として見るようにしています。パーソナルトレーニングに正解はありませんが、パーソナルトレーニングがその人にとっての幸せに結びつかなければならないと、私は考えています。今回紹介したものは、その人にとっての幸せとは何か?そのために今、自分が何をすることが最善なのか?を考えていった結果であり、最初から効率を目指したわけではありません。

今後、志を持ったパーソナルトレーナーが一人でも多くなることを願うと共に、私自身もパーソナルトレーナーとしての目的を見失わないよう、心掛けていきたいと思います。最後に、トレーニングの効率とは、効率を考えないことで見えてくるのかもしれません。

参考文献

1)Allen Hedrick. 効果的なレジスタンストレーニングのプログラムデザイン:実践例. ストレングス&コンディショニングジャーナル. Volume10. Number3. 特定非営利活動法人NSCAジャパン. 3-11. 2003.

2)Patricia M. Davies. Steps To Follow ボバース概念にもとづく片麻痺の治療法. シュプリンガー・フェアラーク東京株式会社. 1987.

3)Phil Kaplan. ウイダー・メンタル・コンディショニング・バイブル. 森永製菓株式会社健康事業部. 1999.

4)Thomas R.Baechle, Roger W.Earle. ストレングストレーニング&コンディショニング第3版. 有限会社ブックハウス・エイチディ. 2010.

5)有賀誠司. フィットネスインストラクターのための筋力トレーニング研修指導マニュアル 個人版. 株式会社日本プランニングシステム. 2006.

6)清水隆一. 子どもの発達とコミュニケーションスキル. 公認ジュニアスポーツ指導員養成テキスト 理論編. 財団法人日本体育協会. 31-40. 2005.

7)高妻容一. 今すぐ使えるメンタルトレーニング 選手用. 株式会社ベースボール・マガジン社. 2002.

8)高妻容一. 今すぐ使えるメンタルトレーニング コーチ用. 株式会社ベースボール・マガジン社. 2003.

9)宗道臣. 少林寺拳法教範改訂2版. 財団法人少林寺拳法連盟. 1988.

10)田中勵作. 神経:運動調節の仕組みと感覚の役割. 健康運動指導士養成講習会テキストⅠ第五次改訂版. 財団法人健康・体力づくり事業財団. 115-137. 2003.

11)特定非営利活動法人NSCAジャパン. ストレングス&コンディショニングⅡ エクササイズ編. 株式会社大修館書店. 2003.

12)特定非営利活動法人NSCAジャパン. レベルアッププルグラム レベルⅠ講習会テキスト. 2008.

13)松下幸之助. 実践経営哲学. 株式会社PHP研究所. 2001.

14)山田日登志. 現場の改革、最強の経営 ムダとり. 株式会社幻冬舎. 2002.

15)山本利春. 知的アスリートのためのスポーツコンディショニング 新装版. 株式会社ベースボール・マガジン社. 2008.

16)渡辺英児. 競技力向上を目指すメンタルトレーニング. ストレングス&コンディショニングジャーナル. Volume16. Number10. 特定非営利活動法人NSCAジャパン. 6-14. 2009.

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