重心と運動能力の関係

月刊トレーニングジャーナル2011年1月号の掲載記事「パーソナルトレーニングにおける効率」より一部抜粋

執筆者/トータルフィットネスサポート代表 齊藤 登


身体の安定について、私は内面的な安定性を重視しています。姿勢変化とメンタルの関係において、身体内に目をやると姿勢変化に伴って身体重心も移動しますので、これがメンタル面になんらかの影響を与えているのではないかと考えています。

これは私の経験的な話になりますが、身体重心の位置とメンタル、視覚などには密接な関係があると思います(表1および表2)。

表1. 水平面上からみた身体重心(重心感覚)の位置とメンタル面・身体面・視覚面との関係
水平面上からみた身体重心(重心感覚)の位置 メンタル面 身体面 視覚面
中央 重心高によって変動(表2) 重心高によって変動(表2) 重心高によって変動(表2)
前方 気持ちが先走る、身体が気持ちについてこない、相手に引き込まれるなど 前のめり、前かがみなど 前しか見えない(中心視野)、周りが見えないなど
後方 尻込み、気が引ける、気後れ、怖気づく、後ずさりなど 腰が引ける、逃げ腰など 目の前のものが迫って見える、相手が大きく見えるなど
側方 気持ちが偏る、偏向など 身体が一方に傾く、片脚荷重など 一面的な見方、片眼に頼るなど
定まらない 動揺、心が揺れ動く、不安、自分を見失う、心と身体が一致しない、気が散るなど 落ち着かない、不安定、身体がぶれるなど 視界が定まらない、目が泳ぐなど
表2. 前額面上からみた身体重心(重心感覚)が中央にあるときの重心高とメンタル面・身体面・視覚面との関係
重心高の高さ メンタル面 身体面 視覚面
適切な高さよりもあがっている(逆U字理論におけるあがりの状態) あがる、舞い上がっている、足が地に着かない、浮き足立つ、焦る、過緊張、気があせる、気が高まるなど 肩に力が入っている、肩が上っている、胸式呼吸など 表面が見える、速く見えるなど
最適な高さ(逆U字理論におけるゾーンの状態、ゾーン重心高) ゾーン、フロー、落ち着く、安心、平常心、肝が据わる、集中、冷静沈着、心構えができている、何事にも動じない心、自信、腹を据える、心と身体が一致、足が地に着くなど リラックスしている、肩の力が抜けている、腹式呼吸など 全体が見える(周辺視野)、内面が見える(身体の中、重心の動き)、目が据わる、ゆっくり見えるなど
最適な高さよりも下がっている(逆U字理論におけるさがりの状態) さがる、落ち込む、気が重い、足取りが重いなど 肩が前になり背中が丸くなる、うつむき、ため息など 伏し目、暗く見えるなど

姿勢を変化させることによって、身体の重量分布が変化→身体重心が移動→メンタル面の変化と考えるとつじつまが合います。

何故この考えに行き着いたかというと、私は少林寺拳法の指導員をしておりますが、指導書にある心についての記述では「心は無形の存在であるだけに、周囲から受ける刺激や衝撃に敏感に反応し、動揺する可能性か高い」とあります。この文章だけではよくわかりませんが、心という文字を重心に置き換えると意味がわかります。

例えば、びっくりしたときを想像していただくと分かりやすいと思います。予測できない急激な刺激によって、身体が反応(硬直)し、両肩の挙上や腹腔内の臓器が押し上げられるため、上半身が重くなり重心高(床面から身体重心までの垂直距離)が一時的に高くなりますが、これは訓練することによって一定の重心高を保つ(平常心:体幹深層筋群の随意的収縮により、腹腔内の重量分布変化を抑える)ことが可能です。

少林寺拳法に限らず武道では、相手の心を読むということがよく言われますが、これは心を直接的に読むのではなく、相手の身体重心を感じとる(イメージ)ことによって、間接的に心を読むことができるということではないでしょうか。私も少林寺拳法を始めたころは、相手の身体重心を感じとることはできませんでしたが、経験を積むことによって自然と分かるようになりました。

よく経験豊かなスポーツの指導者が、選手の動きを見た瞬間に問題点を指摘し、的確な指示を与えることができるのは、表面的な形だけではなく、内面的な身体重心の位置を感じとることができるからだと思います。

身体を安定させるための実際の方法は、まず競技特性を考慮した肢位(立位、座位、長座など)をとり、身体重心が水平面上での身体中央になったら、重心高を自分に合った最適な高さ(以後「ゾーン重心高」と表記)にセットします(図A)。

ゾーン重心高は、身体面のウォームアップからクールダウンに至るまで、パーソナルトレーニング全体を通しての基本的なポジション(クイックリフトや下肢のプライオメトリックなどは瞬間的に身体重心が上下動する)になります。

厳密に言えば、身体重心を測定しているわけではないので、あくまでのその人の感覚的な身体重心の位置(以後「重心感覚」と表記)と考えています。

メンタルトレーニングの逆U字理論では、覚醒レベルの高さがパフォーマンスに影響を与えると考えられおり、サイキングアップとリラクゼーションという手法を用いて、覚醒レベルをコントロールします(図B)。

私は覚醒を重心感覚、レベルを重心高、覚醒レベルのコントロールを重心感覚のコントロールに置き換えて考えています。この重心感覚は、姿勢の微調整と体幹深層筋群の随意収縮よってコントロールすることができます。最初は、難しいのですが練習することで比較的短期間(1~3週間程度)でできるようになります。

丹(腹)を練るという言葉がありますが、これは体幹深層筋群の随意収縮よって自由自在に重心感覚をコントロールすることなのかもしれません。

面白いことに、ゾーン重心高の高さは人それぞれであり、私が指導しているクライアントでもかなりのバラつきが見られます。これは恐らく、筋力レベルの違いが影響しているのではないかと思います。

表3に示したとおり、重心高が高いと脚の負担は少なく、機動性は高くなりますが、安定性は低下してしまいます。逆に重心高が低いと、脚の負担は大きく、機動性は低下しますが、その分安定性は増します。

したがって、ゾーン重心高(動きやすく安定性がある最適な重心高)は、その人の筋力レベルによって異なりますので、個別に設定していかなければなりません。

*投稿記事パーソナルトレーニングにおける効率もあわせてご覧ください。

表3. 重心高の違いによるスポーツパフォーマンスへの影響
重心高の高さ 機動性(動きやすさ) 安定性(崩れにくさ) 脚の負担 メンタル面
高い × 小さい あがり
最適 普通 ゾーン、フロー
低い × 大きい さがり

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